詩小説『雨の日の猫は眠りたい』その2。/たま
 
ぼち、男も
店じまいするところだ


  散文の海へ6

 詰め所にもどってみると、ロックしていたはずの鉄の扉がおおきくひらいていた。
 倉庫のなかの詰め所だったから、倉庫を利用するひとはほかにもいて、あたりまえだけど合い鍵はいくつもあったのだ。
 詰め所の扉をあけたのは、海水浴客たちの安全を見守るライフセイバーの若者たちだった。水泳教室の帽子みたいな、赤と黄色のセービングキャップと、真っ赤なサーフパンツを身につけて、まだ日やけ半ばの上半身はたくましく、おそらくは体育系の学生たちだろうか。黄色いパトロールユニホームを着た女子も混じっていた。倉庫には彼らが毎年使用する用具や備品が保管
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