詩小説『雨の日の猫は眠りたい』その1。/たま
生きられないわたしを
温めていてくれる
詩人と、歌人の関係は
たがいに物いわぬひとなのだとおもう
それは
ひとと、犬であったり
猫と、ひとであったりしながら
夜になればおなじ寝床に帰りついて
においを嗅ぎあい、肌をすりあわせて
たがいの体温をわけあって眠るかもしれない
そうして
朝をむかえることができたら
詩心なんてどこにもなくて
肌をよせて眠るあなたがいるだけなんだと
気づくはず
短歌であっても
詩であっても
ときには、おさな子のいたずらがきであったり
萌え尽きたおち葉の葉脈であっても
このわたしを超えていくものがなければ
たとえ、明日がこようとも
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