紙のおじいちゃん/yo-yo
 

背筋がまっすぐ伸びていたおじいちゃん
朝は5時には起きだして
公園で仲間とおしゃべりするのが日課やった
盗難バイクを解体するヤンキーと喧嘩したり
ランドセルの小学生をからこうてみたり
啓蟄や夏越や爽やか赤蜻蛉やゆうて
昆虫のように季語を追いかけはってた
おじいちゃん

それやのに
ただの白い紙になってしもて
もう五文字も出てきいへん
七文字も出てきいへん
言葉をどこへ置いてきはったん

おばあちゃんがなんもかも
持っていってしもたんやろか
おばあちゃんも紙のようになって死にやった
少しずつ少しずつ紙にうずもれて
紙くずみたいになってしもて
おじいちゃんが
[次のページ]
戻る   Point(16)