紙のおじいちゃん/yo-yo
 
んが必死になってさがしたんやけど
終いにはなんも残らへんかった

きりがないねん きりがないねん
おじいちゃんは呟きながら紙をちぎってはった
生きるんかて死ぬんかて きりがないねん
おじいちゃんの体が
あれから急に軽うなりやった

おじいちゃんの紙のきもの
よれよれになった袖やすそを
ときどき鋏で切ったげるとしゃんとなって
わずかだけ昔のおじいちゃんに戻るみたいやった
そやけど すこしだけ小っこうなって
ますます小っこうなって

おじいちゃんは紙の眠り
おじいちゃんは紙の目覚め
すっかり紙にくるまれてしまはって
おじいちゃんのかなしみ
もう紙のいのち

おじいちゃん
風の日はそとに出たらあかんえ
雨の日もそとに出たらあかんえ

あした私は紙人形になって
この家を出てゆくけれど




戻る   Point(16)