紙のおじいちゃん/yo-yo
んが必死になってさがしたんやけど
終いにはなんも残らへんかった
きりがないねん きりがないねん
おじいちゃんは呟きながら紙をちぎってはった
生きるんかて死ぬんかて きりがないねん
おじいちゃんの体が
あれから急に軽うなりやった
おじいちゃんの紙のきもの
よれよれになった袖やすそを
ときどき鋏で切ったげるとしゃんとなって
わずかだけ昔のおじいちゃんに戻るみたいやった
そやけど すこしだけ小っこうなって
ますます小っこうなって
おじいちゃんは紙の眠り
おじいちゃんは紙の目覚め
すっかり紙にくるまれてしまはって
おじいちゃんのかなしみ
もう紙のいのち
おじいちゃん
風の日はそとに出たらあかんえ
雨の日もそとに出たらあかんえ
あした私は紙人形になって
この家を出てゆくけれど
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