いんとろだくしょん&アレグロ?/朧月夜
彼女の寝顔は安らかで、何もかも忘れ捨てた子供のそれみたいだった。
「何も、感じていなかったのかな?」
わたしはゆうべの想いを思い出そうとして、心のなかをそっとさぐってみました。でも、その中には何もありませんでした。
「悪いこと、悪いことって、しきりに言っていたような気がする」
「……」
「あれから、二人でお酒を飲んだのね、たぶん」
「……」
アパートのしたで、車が思いきり迷惑なクラクションを鳴らしました。
「……」
果林が、かるい寝息を立てた。
わたしは、彼女の髪のかかった額を撫でようとして、ちょっと迷いました。
「いやだ……。わたし?」
ゆうべのわたしたち
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