いんとろだくしょん&アレグロ?/朧月夜
 
たメッセージやのぼりが、いたる所に転がっていました。自分たちの主張を捨ててしまうなんてことは、この人たちもあまり熱心ではなかったんだなと感じながら。
「ああ。働きたいな、とっても」果林は、天をあおぎながらつぶやきました。
「仕事しなさいよ」
「……」
「簡単じゃない」
「……」
「音楽馬鹿」
「何かいい仕事がないかな。ね、茜さん?」
「楽な仕事をさがしてたら社会人にはなれないわ」
「そんなんじゃないよ」
 果林は、落ちているのぼりをかっと蹴りました。
 青色街灯が彼女を照らし出して、そのまわりに同心円状のパターンをつくりあげていました。
 わたしはとても切なくなって、彼女の
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