のらねこ物語 其の二十一「木彫りの虎」(ニ)/リリー
「ほんとにさ、どうしちゃったんだろね?」
手代が店を閉めると 丁稚小僧と店内清掃済ませたおゆうが
夕飯のお膳の準備をしているおりん捕まえて話す
「そうね。…。」
二人は、この一ヶ月以上もガラス鉢で動かない金魚を
見つめるのだった。
そんな晩のこと
おりんは不思議な夢を見た
掛け軸を見るおりんが
「どうして泳がなくなっちゃったの?」
金魚に、問いかけてみる
そして ふと気付くのだ
「そういえば、大野屋さんの木彫りの虎が置かれるように
なってからよね…。」
すると その言葉を聞いた掛け軸の
ぴたっと動かなかった金魚二匹はパッ
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