【映画の中の詩】欲望という名の電車/藤原 実
 
ら、それはただ
愛のためにのみそうであって欲しいのです。こうは仰言らないで
「私はあの人が好きだ、あの人の微笑みも好き、あの人の顏立ちも、あの人の
優しい話しぶりも、私のそれとよく調和する
氣の配り方も、そしていつぞやは本當に
そのために心愉しい安らかな感じをうけたものだ。」などと――
なぜなら、いとしい方、これらのものはもしかしたらそれ自身で
變りもしましようし、或は貴方のために變ることもありましよう、――それにそうして作りあげられた愛は、
そのために破れることもありましようもの。また私を愛して下さいますな、
貴方の優しい憐れみのお心で私の濡れた頬をおふき下さるおつもりなら、
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