腹じゃないものが飢えてる/ホロウ・シカエルボク
 
の中を駆け回っている、構造体を把握しようとしているわけでもあるまい、時折壁に刺したピンに身体を引っかけてカリンバのような高い音を立てる、時々それをサンプリングして使ってやろうと目論むけれどそんな時に限ってやつらは身体を休めている、穴の開いたチーズでもどこかで手に入れたのかもしれない、皿を流しにつけると小さな虫に気付いて指で潰した、紙よりも薄っぺらで弱い感触だった、そんな生きものたちは輪廻の中でどんな気づきを得るのだろう?「生き永らえるには強い身体が必要だ」それがもしもそんな結論だったりしたらあまりに悲し過ぎる、午後の早い時間、太陽光の強さに反して気温はどんどん下がる、いつかそんな夢を見たことがあっ
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