そいつのロックンロール/チャオ
を見出していた
そいつがロックは死んだといったとき
そいつは疲れて倒れこもうとする世界を見出した。
そいつはロックンロールを愛しているのに、ロックンロールは共鳴しなかった
そいつは愛を感じようとしたのにそいつは愛と共鳴できなかった
そいつはステレオから流れる繊細な反逆に、拳を握り締めることがしばしばだった。
そいつは愛がすべてだと信じ、愛を得ることが出来なかった。だから
そいつに残されたものは、愛の拒絶と生命の断絶だった。だけど
そいつが持ってたのは、愛の拒絶と死への恐怖だった。それに
そいつはロックの没入を感じて、
そいつの没入も信じた。結局、
そいつはそれから何年も生きて
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