昔の駄文「嫌いなもの」/佐々宝砂
自分が属する小世界を愛し守ろうとする/その裏返しとして自分以外の存在を排除しようとする/心だ。一般的に愛は他者を排除する。好きな人とは二人っきりになりたい、のである。そういう心理は、もちろん私にもある。「愛」そのものを否定してしまうつもりはない。私が嫌いなのは「排他」の方だ。私はなるべく「排他」を避けてはいるけれど、ついついやっちまうことがある。そのたび反省する。しかしそれでも個人的な範囲内にとどまっているなら、害が少ないからまだいい。私が死ぬほど嫌いなのは、特に、「排他」が社会的な大きさに広げられた場合のことなのだ。
具体的に、それはどんな現象を引き起こすか。その根からいちばん最初に生まれ
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