メモ1/由比良 倖
5冊続けて、西脇順三郎の詩集を買って、すっかり依存症のようになってしまった。
西脇順三郎を読んでいるときの独特な感じ。読書とは、活字を想像して噛み砕いて、吸収していくことだ、と一応仮定するなら、西脇順三郎の詩を読んでいるときは逆に、こちらから字面に向かって、自分がほどかれていくような感じがする。どんどん自分が透明になっていく。
自分という枠組みを取り払ったところに本当の自分がいる。自分って言うのは曖昧なものではなく、変幻自在なものだ。世界と同様に。例えば地球が、どんなに様変わりしても、どんなに暴力的な側面があろうとも、どんなに楽園のようであろうとも、その全ての様相の総体として、揺るぎなく地
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