メモ1/由比良 倖
 
と思う。
 自分の痛みとか不安とか、憎しみだとか恐怖だとか、そんなものが全てではない。そんなのは、思想なんか全然取り入れなくても分かる。子供だって分かるし、要するに、(自分が定義した)自分に拘らずに、今まで自分以外だと思っていた全てを、出来れば好意的に受け入れたときには、もう、全て以外は何も残らなくなる。全ては、いつでもあるし、あり続ける。
 僕は、「世界」に興味がある。世界を感じることは最大の快感だし、幸せで、そこには不安も恐怖も、まっさらに、何にも存在しない。人たちがいて、心があって、……ただ単に、小さな自分から出られるなら、僕は個人的に、それ以上世界になにひとつ要求しない。

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