メモ1/由比良 倖
部幻覚なのだという意識を強く持ち続ける苦行は、二度と体験したくない。虫がちょっと見える、ってレベルじゃなくて、身体中が毒虫の巣になっていて、噛まれると本当に痛かったりする。
でも、あの憎悪に満ちた幻覚の世界から、一生出られない人が少なからずいるのだと思うと、本当に気の毒でならない。気の毒なんて言葉じゃ追いつかない。ひとりひとりが、自分だけの全世界を生きている訳で、統合失調症の人は、全世界が悪意と恐怖に満ちた場所にずーっと閉じ込められていて、しかもその恐怖を誰とも共有出来ない。
本当は離人症のことについて多く書きたくて、考えていたんだけど、離人症の辛さを説明するのは、とても難しい。ふ
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