メモ1/由比良 倖
 
少しシャワーを浴びるのにも、すごく気疲れして、病院の日にもシャワーを浴びないことが多かった。寝間着のままで出かけたりした。
 もうひとつは、ベッドに横になっていて、外で猫がぎゃーぎゃー鳴いているな、と思っていたら、突然僕のお腹の上に、猫がぼとっと落ちてきたときだ。飛び起きて、必死になって枕で猫を押さえつけていたら、しばらくして何の音もしなくなった。その枕を捲るのに、ものすごく時間がかかった。幻覚に決まっていると分かっているけれど、猫を潰した感触が手に残っているし、幻覚であれ、もう一度猫と再会するのは恐怖でしかなかった。その時は冷静になれなくて、幻覚だろうが、殺せば死ぬだろう、窓から捨ててやろうと
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