メモ1/由比良 倖
、メモしておいたこともあった。幻覚も妄想も、全然楽しくはないし、世界全体が僕の為のホラースポットに変化している感じなんだけど、これはお化け屋敷みたいなもので、出口はあると思っていたので、絶望まではしなかった。でも、半年くらいお化け屋敷の中にいたような気もする。
お化け屋敷を現実だと信じてしまうと、もう一生そこから出られないのではないかという懸念があった。階段を上がって、ふと天井を見上げると、血塗れの上半身が逆さにぶら下がっていたり、ベッドや机の下に気配を感じて、覗き込むと、宇宙人やら赤ん坊やらが、こちらを見上げていたりする。どこかのB級映画のシーンを適当に詰め込んだような世界。そういう幻覚に出
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)