メモ1/由比良 倖
 

 僕は暗い暗い、心の内側でありながらあまりに遠い、永遠の夜中にいる。
 それともいつしか、光が光で満たされる?
 僕は西暦3000年に出版された聖書を読んでいる。
 『ロリータ』と『不思議の国のアリス』を読んでいる。
 アニメみたい。
 映画を見ることは嫌いだ。
 僕は全てを夢見る。僕は全てを読む。
 何もかもに血を塗る。
 言葉、言葉、言葉……
 全てが沈黙するとき、
 世界で最後のピアノの音が鳴り終わるとき。
 僕は、その時を生きている。
 永遠に開けられない扉の前で、
 窓の外では、おびただしい数の青い馬が駆けている。

 美しいものは、美しい理由を与えて
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