陽の埋葬/田中宏輔
ニール袋に包まれた黒い粒と白い粒がいくつかあった。銅像は耳をすませた。銅像の耳は、時代を超えた叫び声を聞いていた。刀や槍で刺し貫かれて川に突き落とされた男たちの叫び声だった。猛獣に噛み殺され身を引き裂かれた女の叫び声だった。銅像は瞼を上げた。銅像の目は、時代を超えた映像をいくつも見ていた。川べりで生活する古代人たち。川遊びをする子どもたち。川の上を、爆弾を落としながら、飛行船が横切っていった。その映像が、公衆便所の真上にくると、巨大な鋏が姿を消した。地面の上には、白銀色のエクトプラズムの残骸がちらばっていた。銅像は自分がいた場所に戻るために、その重たい足を持ち上げた。地面の砂がざりざりと音を立てる
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