齧りかけの林檎 (散文詩にしてみました 6)/AB(なかほど)
 
も多
くの笑顔が、僕の好きな笑顔が転がっていた。

2+ 君の笑顔のほとんどが作り物であるこ
とと、その理由を話してくれたとき、そこに
は、そこには僕が知る限りで最も愛しい、笑
顔らしい笑顔が滲んでいた。

1+ やがて僕の描く齧りかけの林檎はすっ
かり色を無くしてしまい、ただの林檎、にも
なれない。



立ち読み

 あのひとは童話作家になっていました。わ
たしは嬉しくて嬉しくて嬉しくて、何度も何
度も何度も読み返して、そらでつぶやけるほ
ど何度も。でも、その齧りかけの林檎の挿し
絵はわたしが描くはずでした。その頁がひら
く度、しだいにやるせなく、しら
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