齧りかけの林檎 (散文詩にしてみました 6)/AB(なかほど)
 
て、もう帰るから」
この夜に、12時前、中途半端なエロ本を片手
に店を出たこの夜に、またいつか。



習作1および2

1 あの頃の僕の絵にはいつも齧りかけの林
檎が描かれていて、それは空に浮かんでいた
り、波間で揺れていたり、想い出の瓶詰めの
中で転がっていたり。キャンバスには他にも
今が食べごろの様々な果物を描いているが、
見る者誰もが齧りかけの林檎を欲するように、
と願って描いていた。

2 僕の好きだった北の文学に出て来るよう
なあの頃の君は、いつも笑顔で、振り返ると
き、話すとき、仲間に囲まれているとき、歌
うとき、そして、君が綴る言葉達の中にも多
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