齧りかけの林檎 (散文詩にしてみました 6)/AB(なかほど)
さえ描けなくなったのは
何故なんだろうね。もう少し判らないふりし
ててもいいのかな。そのときちょうど君から
胸ポケットの携帯、いや、君からじゃないこ
とは判っているさ。
でも、僕の胸を震わせてるのは君だろう。
ぶるるる って、ぶるるるう って、ぶるる
るるるるううう って、うるるるう って。
そんなに震わせたって、僕の心から君の欲し
い物はもう何も出てこない。のよ、たぶん。
あんなに齧りかけの林檎ばっかり描いてい
たのに、ただの林檎さえ描けなくなったのは
何故なんだろうね。もう少し判らないふりし
てるよ。それでいいのかな。いいのかな。
「はいはい、判ったって、
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