「君たちはどう生きるか」を自分はどう見るか/木屋 亞万
散りばめられたこだわりにグッとくる。そんなの誰もわかんないってみたいなのも少なからずあるはずだ。宮崎駿が「世の中の大事なことってたいてい面倒くさいんだよ」と言っていたドキュメンタリーを見たことがある。「めんどくさい」けど手放さなかったこだわりによって、あの圧倒的なクオリティの作品は生み出されたのだと思う。
神を感じた細部をいくつか。
火事の時、遠くにいるものには、鐘やサイレンの音しか聞こえない。周囲(使用人?)がざわつく気配。父の後を追おうとするが、玄関まで行って一度布団に戻り、着替えて家を出るところ。火事の炎が画面全体を舞う描写。バケツリレー。繰り返し出てくる母と火の描写が毎回ち
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