銃弾はひとつだけでいい/ホロウ・シカエルボク
 
えているように聞こえる、口元は血で汚れている、なあおい、なにを食った、鴉たちと仲良く味わったのか、なあおい、なにを食ったんだ…クラクション、衝突音、すべてが一斉に飛び立つ、置き去りにされたのは肉塊になってしまったやつだけさ、二種類のサイレン、二種類の肉体…原因が究明され、死は撤収される、俺は米粉で出来たパンを腹一杯になるまで詰め込んでいる、生きることについちゃ俺に聞くのが一番確かだぜ、ふうん、と窓のへりを歩いていた蟻が意外そうな顔をして一瞥をくれる、雷雨が始まる、地震の速報が入ったのは昨日のことだった、俺は気が付かなかった、でもだからってなんだって言うんだ、死なないのなら地震ぐらいどうってことはな
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