銃弾はひとつだけでいい/ホロウ・シカエルボク
 
はないさ―蟻は少し目を離した隙にどこかへ行ってしまった、なにしろあいつらはシンプルで小さい、窓の外側にほんの少しだけ珈琲を垂らしてみる、心ばかりの贈り物だよ、カフェインの香り、それは喉元を通過するものとはまるで違うものに思える、概念は破壊される、それはいつだって破壊される、ノーマルを美徳とする連中には耳を貸すな、あいつらは既製品と似たようなものを作って満足しているだけだ、カウンターでないのならカルチャーである意味もない、もうそんな根源的な部分のことさえも人々は忘れてしまった、そのことはわりと腹立たしい、どんなジャンルにだってもう、趣味の範疇以上のものはほとんど存在しないのさ、もうある線をなぞるだけ
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