銃弾はひとつだけでいい/ホロウ・シカエルボク
 
ピッチを上げる雨、魚眼レンズの内側のような世界、水晶体が砕けてしまわないかと心配になる、二度と取り戻せないものに対して俺達は鈍感過ぎる、いつだって―バリケードの内側では共食いが始まるものさ、世界イチ見苦しい食いカスがそこら中に散らばっている、鴉たちが大騒ぎしながらそれに群がっている、殺し合うものたちの悲鳴、お前達は望んでそこに居座ったのではないのか、選んだ道の先が栄光じゃないことなんか別に珍しくない、けれどそのせいで生命活動が途切れてしまうのならば、それはやはり間違いなのだろう、生きていること以外に自分を証明出来る手段などないのだ、ブリキの玩具を踏みつけながら野良猫が鳴いている、それはまるで吠えて
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