黒い光輪。/田中宏輔
 
の名前をここに入れたかったのであるが、詩の調子が崩れることがわかったので諦めた。





I・II ヴィア・ドロローサ I


クレネのシモンは          犬が跛をひきな
  坂道を下りながら          がら坂道を
    下りてゆきながら          下りて
      思い出していた          くる
        磔になった男の         …
…         あの男の死に顔を
なぜ          死の間際に浮かんだ
あの男が          あの不思議な死に顔を
自分のことを          頭から離れなかっ
[次のページ]
戻る   Point(11)