パパ、パパ、パパ、/ゼッケン
らって土に半分埋めた
許してくんねえかな
汗で濡れたシャツが肌に貼りついている
希望が叶うことはまれだ
おれは父親らしく復讐したかっただけだ
母親に慰められる娘と
娘を慰める母親を見て
復讐が父親の機能なのだとおれはついに知った
雄性の親を父親と呼ぶのではない
家族は機能を宣誓する空間だった
父親とは何者なのかについての無知からおれは脱した
しかし、おれの無能は無知とは関係がなかった
無能さだけが残った
デフォルトが絶望である
再び持ち上げたシャベルの先端が震えて土がこぼれる
穴の底に降り、
おれは埋められたい
無能さがずきずき痛む
おれは復讐ではなく、殺人
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