詩のこと、言葉のこと/由比良 倖
 
ら心が余り出るのか、心から言葉が余り出るのか。その相互作用によって、言葉の列は永遠に成されていく。
 心は言葉に滲み入り、心は言葉を超えていく。言葉は心に沈みゆき、言葉は心を超えていく。その言葉をさらに心は把捉し、またも言葉を超えていく。言葉の強さは、的確な表現ではなく、書き続け、書かれ続け、終わりなく心を汲みだし続けることにある。終わらない旅。人類が言葉を見付けたときにはもう既に、永遠を決定づけられた心の旅、それは悲しいかもしれない。嬉しいのかもしれない。
 言葉について書いたので、言葉に限定したけれど、表現には一般に「終わらない」という性質があるのだろうと思う。僕は言葉への偏愛があって、言
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