詩のこと、言葉のこと/由比良 倖
のところで、でも綺麗に言葉に収まっていて、息が切れそうなくらい、本当にすごいと思う。あともう少しのところで言葉からはみ出そうだと思う。
ひと言では説明出来ないことを、そしてまだ説明されたこともないことを、言葉は描く。心の中から何が出てくるのか分からない。心は言葉にならないことだらけなのかもしれない。言葉を与えられても与えられても、そこからするりと抜けてしまう、永遠に余りある何かが心の中にはある。同時に、言葉にされるまで、言葉に滲みいって形になるまでは、気付きもしなかった感情や情景が、心にはたくさん、多分無限にある。意識からは逃れゆき、生活からは疎外された何かを、掬い取る言葉たち。言葉から心
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