詩のこと、言葉のこと/由比良 倖
 
思う。「悠久」という言葉も知っている。「幽邃な風景」と書かれていても、何となく分かる。そんなの、ありきたりな言葉だと思って、特に注意を払うことなく通り過ぎてしまうけれど、僕はそんな言葉をどこで覚えたのだろう?、と思うと不思議になる。辞書で調べたこともないし、日常会話で「悠久」なんて言葉は滅多に使わないし、本を読んでいて、文脈から意味を知ったと言うには、ぴったりとした使い方を知りすぎていると思う。「遙か彼方の」という言葉と「とても遠い」「あまりにも遠い」という言葉のニュアンスの違いも知っている。
 「出かけるのは億劫だ」という言葉と「出かけるのは面倒だ」という言葉の使い分けも知っている。「億劫」の
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