詩のこと、言葉のこと/由比良 倖
 
、何かしら、イメージを伴って感じられるようになると思う。小学校や中学校で「幽玄」の意味を一から学ぶことは無いだろうし、時代を遡る経験を、おそらく一度も経ないにも関わらず、何故か分かってしまうと思う。そして多分、有りがちな表現として、立ち止まることも無く、こんな文章は読み飛ばしてしまうようにさえなるだろう。
 僕は本に囲まれた生活をしている。さらさらと読み飛ばしただけなのに、不思議な、遠い余韻を、僕の中に残していった本がたくさんある。どんな魔法のような表現が、僕の中にこんな、遠い感慨を残していったのだろうと、再読してみることが多い。そしていつも思う。何でもないような表現、僕にとっては日本語が、既に
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