詩のこと、言葉のこと/由比良 倖
 
言葉を使う人が、いちいちそんな意味を探りながら言葉を使っているということはまず無くて、どういう訳か、感覚としてその意味合いを知っていて、しかもかなりきちんとそのニュアンスが読者や、聞く人には伝わる。「彼女は昨日、すごく泣いたんだ」と言えば「彼女に何があったんだろうね」という会話に繋がるのは自然だし「昨日、彼女には散々泣かれたよ」と言えば「それは君も大変だったね」という返しが自然だったりする。お互い感覚的に話しているけれど、しかもその感覚が、きちんとした言葉遣いに結びついている。

 三歳になる甥が遊んでいる動画を、妹(甥の母親)がときどき送ってくるんだけど、現在形や過去形の使い方は、どうも実地
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