読むことのスリル──ひだかたけし小論(7)/大町綾音
 

  )この人にはボクの恐怖は絶対分かってもらえない

  同時に、
  救いようのない絶望感が私を貫く
  肉を魂を貫く絶望が

 作者は、一足飛びにこの結論へ至っても良かったのです。詩とはアフォリズムではありませんが、読者に対してなにがしかの感興をもたらすものではあります。そうした、「詩想」のみを呼び起こすべきものであるとき、詩はその持続を必要としなくなります。世の中には一行、二行、三行といった短い詩もありますが、詩とは奥深いものであり、むしろ余白にこそ読むべきところを温存しているものでもあり、必ずしも長い詩が多くを語り得るものではありません。ひだかたけし氏も、タイトルとこの四行で
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