シナリオ・駒は乙女に頬染めさせて?/平瀬たかのり
穣一「ほれ。おまえの謹慎先や」
パンフレットに目を落とす寿々芽。
穣一「俺が初めて重賞勝った馬の育成牧場や。二代目の
場長となんやしらん気が合うてな。家族ぐるみの付き
合いしてる」
パンフレットから目を上げ、穣一を見る寿々芽。
穣一「寮もある。飯つき風呂つき寝床つきや。けど給料
はないぞ。謹慎中の身やからな、おまえは。理事長に
も了解もらった。明日にでも正式な通達がくるはずや」
寿々芽「あの、海野さん。なんでわたしなんかのために
ここまで――」
穣一「寿々芽。俺に颯希っていう中学生の娘がいてるの
知ってるやろ。保育園の頃から騎手になるのが夢でな。
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