Everything is okay./大町綾音
 


今宵、月は雲を追いかけていた。
そこに虹はあり、虹はなく、虹はあり……

奇跡のように、オーロラのように、月は、
雲間に七色の光を落としていた。

わたしはもっと待とう。待ち人を。
それが、わたしを救う人だということを思って。

今宵、月は雲間隠れに、
隠遁していた。己だけの言葉を追っていた。

その月の向こうにあるものを、追おうとしているわたし。
埒もなく、あてもない。

何を求めているのかということを、絶えず、
追い求めているのは貴重なことだ。

時間は人の思惟には関係なく、過ぎてゆくのだから……
わたしは敗北する。

わたしが待っていたのは
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