Everything is okay./大町綾音
のは、月?
わたしは人を待っていたのではなかったのか。
そんな愚問を懐のなかに仕舞い込んで、
わたしは月のない中空を見つめるのだ。
もうそろそろ、
光を逃れて行こうじゃないか。
光から逃れて、月を逃れて、夢を逃れて、
ただ現実のなかに沈潜していく。現実って……?
わたしは、「わたし」ということも捨てて、
ただある道を行こうとするのだ。足下の道を。
わたしは、わたしを殺した、遺棄した、放逐した!
夢はどこにあったか。夢は夢の場所にしかなかったのではないか!
そうだ。わたしはあり得ない高みにある、
夢という名の何かを求めていた。それが何か?
自身
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