信じる/フェルミ
 
殴り書き
しかできないぼくの
不誠実を
非難したいならすればいい

 *

「さとう」の三文字を書いた
マジックペンはまだ
筆箱に入っている
この、
「さとう」
の、三文字を書いた
手はもう、ない

クリスマス、少し早いけど
きみはぼくにコートをくれる
ぼくは障害年金からひねり出した
2万円で
きみに時計をプレゼントする
クリスマスだってのに、
桜のきれいな
時計をプレゼントする
いつか、生活費を切り詰めた
3千円で
時計をプレゼントしたことがあった
3千円の時計をうれしそうに
本当にうれしそうに
つけていた手首はもう、ない
あれもピンクゴ
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