信じる/フェルミ
クゴールドだった
ぼくは平気な顔をして
きみを家に呼ぶ
きみは料理を作ってくれる
「さとう」と書かれたケースから
砂糖を取り出して
すき焼きをたれから作ってくれる
ぼくは平気な顔をして
すき焼きをたいらげ
君とキスをする
きみとセックスをする
きみがベランダで
京都の夜景を眺めながらタバコを吸う
――ぼくの家は山の中腹にあるから
ぼくは
セックスのあと
必ずタバコを吸っていた女を知っている
ぼくはタバコを吸わない
きみに、「美味しい?」と訊く
きみは、「美味しい」と答える。
全く同じ会話を
したことがある
奈良の馬鹿みたいな田舎で
彼女の残
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