どうか咲いていて/ホロウ・シカエルボク
 
ました、と言って電話を切った。
「あれ、あなた…。」
近くで事故の目撃者に話を聞いていた警官が、俺のところに来てそう言った。あ、と俺も声を上げた。先週だったか、飛び降り自殺に出くわしたときにやって来た警官だったのだ。ついてないですね、と彼は言った。
「まったく。」気を付けてください、と警官は割と真面目な顔をして言った。
「こういうことって続きますから。」
そう言われても、と俺は肩をすくめた。警官は苦笑した。あとはこの前と同じだった。一通り見たことを話して、俺は解放された。警官の話によると、いまのところ死亡者は一人だけだ、ということだった。

仕事を終え、帰宅すると、また花が落ちていた
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