どうか咲いていて/ホロウ・シカエルボク
 
いた。途端、背骨に響くようなショックを感じた。俺の頭の中にひどいイメージが浮かんだ。飛び降り自殺。今日の事故…。

この花が枯れると人が死ぬ。

俺の妄想かもしれない。ほんの一瞬、脳内に滑り込んだイメージに翻弄されているだけかもしれない。だけどもうその時点で俺は、この花は枯らしてはならないのだという思いにとり憑かれていた。花をそのままに、鉤もかけずにもう一度外へ飛び出し、一番近い花屋で花を枯らさないようにするにはどうすればいいか聞いた。俺の様子が余程異常だったのだろう、若い女の店員は引きつった顔をしながらも花を育てるための一式を用意してくれた。長く咲かせるコツなんかも教えてくれた。その頃に
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