どうか咲いていて/ホロウ・シカエルボク
 
生真面目な人なのだ。アパート周辺をいつも掃除しているし、外廊下の電球なんかもほったらかしにはしない。アパートの問題は一度は彼女に相談してみればなんとかなるものだ。普通の問題なら。俺は、変な話してすいません、と、頭を下げた。一応こちらも気を付けてみるわ、と大家は笑った。
「だけど、誰かの仕業だとしてなにが目的なんでしょうね、それ?」
「まったく。」

今度の花は数日もった。数日の間生活を共にすると、花といえども少しは親密さも生まれる。枯れていくのは寂しくもあったが、ようやく奇妙な現象から解放されるかもしれないという思いもあった。どういうわけか俺は、その花が枯れたら終わりだと信じていたのだ。花
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