冬の禁断症状/ただのみきや
えたかと思うと
またすぐに湧いてくる
あの厚い雲
軽々と空に浮きながら
ああ重いこと
あの雲のなんと重いこと
焼かれてしまえ
残らず朝日に
古びた詩集
冬の日差しに目をほそめ
水に見つめる空の雲
ふくら雀はさわがしく
垣根を出たり入ったり
はねる光に目を閉じて
頬で尋ねる風の道
裸の蔦が黒々と
死者の記憶を締め付ける
訪ねる者も絶え果てて
門を閉ざしたあの家で
ことばは今も歩きまわり
白く吐息をまとっている
SPACE
ことばは白紙に浮かんでいる
視線に震えて波紋を起こす
ことばの所在は時間
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