秋のホーム/ホロウ・シカエルボク
トに則ってあの駅に赴いた。駅員に事情を話し、自殺した人のものかどうかわからないけれど、荷物に誰のものかわからないスマートフォンが紛れ込んでいたと告げた。駅員は私がどこに座っていたか聞いた。私の答えを聞いて、少し真剣な調子でわざわざありがとうございました、と軽く頭を下げた。私も同じようにして、そのまま帰りの線に乗るためにホームを移動した。
次の電車が来るまでに十五分ほどあった。昨日と同じ椅子に座り、プリントアウトした彼の最期の言葉を読んだ。声の調子と同じあどけない理由だった。でもそんなあどけなさはもうこの地球上に存在してはいないのだ。私は顔を上げて、ホームから見える小さな外の景色を眺めた。昨日
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