詩の日めくり 二〇二二年九月一日─三十一日/田中宏輔
。狼男を追っている。いまのところ人間は機械と共存しているが、機械は人間を排除したがっている。人間の数は減り、狼男たちの数は増えている。未来は狼男たちのものか、機械のものか。というところで終わり。
さいごの16作目は、D・G・コンプトンの「イギリスに住むというのは」84歳のピアニストが旧友の作曲家の家に行く。友人は新しい機械を持っていた。機械は感覚を記録し再生するという。友人はその機械を使ってピアノを弾くことを望む。主人公は拒んだが、やがてピアノを前にして弾こうとするが、発作を起こす。友人は医師に聞く。死なないだろうかと。医師は言う。死なないだろうと。主人公はそれを聞いて笑う。顔では笑ってい
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