詩の日めくり 二〇二二年九月一日─三十一日/田中宏輔
二〇二二年九月十四日 「谷本益男さん」
6作目は、フレッド・セイバーヘーゲンの「皆既食の時期」ぼくが天文学の知識がないために、なにを読んでいるのかチンプンカンプンだった。つまらない作品に出合うと、読むのにやたらと時間を食う。まあ、そういう読書もあってもいいかなとは思うのだが、なにせ年齢が年齢なだけに、ないほうがいい。
谷本益男さんから、詩集『越冬する馬』を送っていただいた。手堅く丁寧な情景描写が印象的だ。
眼前の田に
うずくまるように積まれたワラ
被っていたビニールが
皮のようにゆらいでいる
支えていた竹や杭が傾いで
力なく うなだれ
ワラは水も
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