終戦記念日/ホロウ・シカエルボク
 
間に医者を蹴り倒し、暴れたいだけ暴れた。机の上にあった鋏を使って、何人かを刺した。二人死んだ。

わたしは例外的に、裁判を待たずに死刑宣告を受けた。これは手に負えない、というわけである。わたしのような人間に対処することは、現代の法律では無理なのだろう。最後に食べたいものはあるかね、と聞かれ、にいっと笑いながら、「あんたの首」と答えてみた。牧師も看守も、目を閉じて首を横に振るばかりだった。



というわけで今、わたしは、袖が後ろで繋がった服を着て、頭に厚地の袋をかぶせられ、絞首台の上に立っている。袋はおそらく使い捨てなのだろう。新品の素敵な臭いがする。空調の音だろうか、シーンという音が
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