終戦記念日/ホロウ・シカエルボク
 
か手に入れた。そうしたサイトの撲滅に動いている人間を個人的に知っていた。大きな秘密を抱えているものはいつだって、誰にも話しちゃいけないよと言いながらほんの少しそれをおすそ分けしてくれるものだ。わたしがそれを悪用することによって彼に迷惑をかけるかもしれないと思ったけれど、いまはほとんど会う機会もなくなっていたのであまり気にはならなかった。休職してひと月半が過ぎたころ、わたしは出社時と同じ格好をして、パスを使って職場のあるビルに入り、サイレンサー付きの銃で仕事場の人間を一人残らず撃ち殺した。数十人は居たけれど実にあっけない作業だった。通勤ルートを移動している時のほうがやたらしんどかった。思っていたより
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