終戦記念日/ホロウ・シカエルボク
 
見つめ返すばかりだった。

家に戻り、貰った薬を飲むと異様なほどの睡魔に襲われた。首根っこを太い腕でベッドに押さえつけられているかのようだった。わたしは一度寝返りを打っただけで深い眠りの中に陥った。その眠りは十時間近く続いた。夢の中でわたしは、ひとりの兵士の一生を生きた。生まれてから成長し、反抗期を迎え、短い恋をし、戦場で少女を撃ち殺したあと小銃で自分のこめかみを撃ち抜いて死んだ。死ぬときには気が狂っていた。ゲラゲラともの凄い声で笑いながら一瞬で死んだ。死んで、地面に倒れてからも笑い声は続いていた。わたし自身が夢を見ながら笑っていたのだった。わたしは悲鳴を上げて枕を放り投げた。枕はサイドテーブ
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