「罪と罰」その読書感想から/ただのみきや
 
りの外へ侵食する朝

少女の頭髪のにおい
それとも人形だったろうか





血の速度

眼球は旅をする
血の熱い流れを
瞼もないのにどこまでも闇が続く
血の中で
血にとけて
ひとつになる
鼓動は快楽
快楽ゆえに秘所の深み
光のような亀裂が走る
突き上げる噴火
内から裂けて
 裏返り
   溢れ出す
意識は炭酸のよう
はじけながら消失した
―――滔々と
   血は流れ続けている

血がことばに変わるまで
進化論者の時間はいらない
人が罪を犯すまで
一日あれば足りるように
一日はひと呼吸
ひと呼吸は鼓動ひとつ
瞬きひとつで十
[次のページ]
戻る   Point(0)