詩の日めくり 二〇二二年七月一日─三十一日/田中宏輔
なかの井戸の模様の世界に入り込んで、生命の木と言われる化け物と対峙して、ぎりぎりのところでやっつけるという単純極まりない物語。やっつけた後はもとの世界に戻っていた。
4作目は、D・H・ケラーの「歩行者族の反乱」人類は自動車族と歩行者族に分かれていた。歩行者族は少数派だった。ほとんどいなかったと言ってもよかった。二億人対二百人だった。何世紀にも渡る自動車の使用で自動車族は下半身がなくなっていた。数百年後、立場が逆転して自動車族が珍しくなった。こういうわけである。自動車族が多かったとき、自動車族の人間は歩行者族の人間を轢き殺してもよかった。法律でそうなっていたのだ。アメリカの法律は自動車族のた
[次のページ]
戻る 編 削 Point(15)